離婚の基礎知識(7)
最終更新日:2017/07/16
離婚後、親権者(監護権者)ではない父母や別居中の父母の一方が、子供と面会等を行うことやメールなどでやり取りすることを面会交流といいます。
以前は直接明文で規定されているわけではなく、判例や家庭裁判所の実務で面接交渉という権利として認められていましたが、民法が改正(平成24年4月1日施行)され、面会交流について明文で規定されました。
親子の関係はたとえ両親が離婚したとしても永遠に続きますので、離婚後も親子の交流を維持することは、お子さまの成長にとって大変重要なことです。お子さまの年齢にもよりますが、離婚されることで少なからず心に変化があらわれます。今まで家族みんなで暮らしていたのに、突然どちらかと離れて暮らすことになるのですから、当然のことかもしれません。
面会交流はお子さまのために行うものですので、自分たちの気持ちや都合は一度胸にしまって、お互いしっかり話し合いましょう。また、お子さまが10歳以上である場合は、その子の気持ち(意思)も尊重しましょう。
面会交流の方法には以下の方法があります。会わせることが困難な事情がある場合には、直接的な面会方法だけではなく、間接的な方法として写真や動画などで子供の状況を提示する方法や、電話や学校行事への参加、手紙やメールでのやり取りなどの方法もあります。
子どもと同居している親は、子どもを相手に合わせたくないと思っていても、面接交渉を拒否することはできません。面接交渉は子どものためにあるものだからです。そのことを考えると、以下のような場合以外は、面会交流を拒否できないこととなります。
間接強制とは、義務があるにもかかわらず、その義務を履行しない義務者に対して面会を拒むごとに一定の額(1回拒むごとに3万円など)を払わせ続けるといった命令を裁判所が出す制度で、心理的なプレッシャーを義務者にかけることにより、面会を促す方法となります。
では、どういった場合に間接強制を申し立てることができるのでしょうか。面会交流については、調停や審判、裁判などで決められた内容が守られない場合に間接強制の申立てができます。しかし、注意することは、面会交流について「義務の内容が特定されている」必要があります。
最高裁平成25年3月28日決定によると、「面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合」は、間接強制ができるとされました。
例えば面会交流の回数を「月1回」と限定的に定めてしまうと、親の事情や子供の事情にかかわらず月1回必ず面会交流を実施しなければ義務違反となってしまうことから、無理やり実施することで特に子供の負担になってしまう可能性があります。
そのため、「月1回程度」あるいは「年○回程度を基準として」のように幅を持たせた取り決め方にするようにしたほうが良い場合もあります。
ただし、「月1回程度」と定めた場合、相手側から月1回と限定的に定められていないことを理由に、2回3回と要求される可能性もありますので、相手の性格などを考慮して、どちらのほうが後々トラブルにならないかをよく検討したうえで合意するようにしましょう。
面会交流の実施にあたっては、交通費やレジャー施設代、外食費などが掛かってしまう場合はあります。また、離婚後に非監護親が転勤などで他県に行ってしまった場合などは、面会交流場所までの交通費や宿泊費など、思わぬ費用が掛かってしまい、その費用負担に関してトラブルになる可能性があります。通常は非監護親の負担となりますが、後々のトラブル防止のためにも、面会交流の取決めの際には念のため費用負担者や負担割合なども決めておくようにしましょう。
(1)子に対するDVなどの虞がある場合
面会交流の実施の際にDVなどの虞がある場合は、監護親やその親族、あるいは第三者などを面会交流に立ち会わせることを条件とする同意をすることが考えられます。
(2)非監護親が子供の運動会や入学式、卒業式などに参加する場合
夫婦間の合意により、非監護親が子供の学校行事などに参加できる場合には、学校行事などの日時・場所はいつまでに連絡をもらえるのか、また学校行事などに参加した月の面会交流は別途実施するのか、などを取り決めるようにしましょう。